コラム

教師はどんな研修を受けるのか?研修の種類や内容を解説

教師はどんな研修を受けるのか?研修の種類や内容を解説 教師

教育基本法第九条には、「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と定められています。教師を目指すみなさんの中には、「教師になってからどんな研修があるのだろう?」と気になっている人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、教師になってから受けることになるさまざまな研修について解説します。ぜひ参考にしてください。

教師が受ける研修の種類

まず、「研修を受ける場所」によって、大きく3つに分けてご紹介しましょう。

自己研修

教師個人の自発的・自主的な研修を「自己研修」と言います。業務に支障がない日に年休を取得して、または、休みの日に、研修会や講演会に参加をしたり、自宅等で自ら研修に励んだりすることを指します。教育委員会をはじめ、独立行政法人教職員支援機構、大学や教職大学院、教育系の民間企業等、さまざまな機関が多様な研修コンテンツを作っており、それらを活用することで効果的な自己研修を行うことができます。

校内研修

それぞれの学校ごとに計画を立てて行われる研修を「校内研修」と言います。校内研修には、校内の教師が定期的に集まって定めたテーマについて一斉に行う全体研修と、新規採用者がベテラン教師の授業見学をしたり自分の授業を見てもらってフィードバックを受けたりするといった個別の研修があります。また、新規採用者に限らず、校内の教師が日々の業務の中で指導上の悩みや問題点について互いに話し合い、よりよい指導方法を考えていくことも校内研修のひとつの形です。

校外研修

「校外研修」とは、文字通り学校の外で行われる研修のことです。国、都道府県または市町村の教育委員会などが主催し、それに各校の教師が職務の一環として派遣される形を取ります。くわしい内容はこの後ご紹介します。

国が実施する研修

国は、都道府県等が行う研修事業を支援するだけでなく、「独立行政法人教職員支援機構」という機関において、「学校経営力の育成を目的とする研修」と「研修指導者の養成等を目的とする研修」を行っています。

・「学校経営力の育成を目的とする研修」

各学校の中核となる人材の育成や、現在の学校教育が直面している課題への対応力を養うことを目指して行われる研修で、経験年数や役職に応じて、「4~8年目教員育成研修」、10年目前後の教師を対象とした「次世代リーダー育成研修」、10~20年目の教師を対象とした「中堅教員研修」、そして「副校長・教頭等研修」「校長研修」の4つの研修が行われています。

・「研修指導者の養成等を目的とする研修」

おおむね5年目以降の教師を対象に、各地域や学校での研修指導者の養成を目指して、学校のマネジメントの推進や生徒指導、グローバル化に対応する研修などが行われています。

都道府県教育委員会等が実施する研修

次に、各都道府県の教育委員会が実施する研修を見てみましょう。

初任者研修

「初任者研修」とは、新規に採用された教員に対して、実践的な指導力と使命感を養わせ、幅広い知見を習得させることを目的として行われる法定研修です。新任教師は勤務校での通常業務を担当しながら、次の2種類の研修を受けます。

・校内研修

校内における初任者研修は、週10時間以上、年間300時間以上と定められています。指導教員を中心とする校内の教師が指導役となり、必要な指導助言を行います。

・校外研修

校外における初任者研修は、年間25日以上と定められています。研修例としては、教育センター等での講義や演習の受講、企業・福祉施設等での体験研修、社会奉仕体験や自然体験に関わる研修、青少年教育施設等での宿泊研修などが行われています。

 

中堅教諭等資質向上研修

「中堅教諭等資質向上研修」とは、教育活動をはじめとする学校運営の円滑で効果的な実施に中核的役割を果たすことが期待される中堅教諭等を対象とし、職務を遂行する上で必要な資質の向上を図ることを目的として行われる研修です。対象者の選定や、研修の実施日数・内容については、研修を行う都道府県等の教育委員会が定めることとされています。

5年経験者研修

「5年経験者研修」とは、教師として5年を経過した教師を対象に、教科指導力の向上、教員としての視野の拡大、学級及び学年経営力の向上を図ることを目指して行われるものです。学習指導や生徒指導・生徒理解についての研修や、教育課題等への対応力を高めるための研修などが行われます。

20年経験者研修

「20年経験者研修」とは、教師として20年を経過した教師を対象に、学校組織マネジメントを核として、学校経営に関わる高い見識と指導力の向上を目指し、学校における自己の役割について認識を深めることを目指して行われるものです。これまでの教職経験を振り返り、職務遂行のあり方を見つめ直すとともに、今日の学校課題に対する理解を深めるための研修が行われます。

生徒指導主任研修

「生徒指導主任研修」とは、生徒指導主任としての役割を自覚するとともに、生徒指導上の課題についての理解を深め、生徒指導主任としての資質能力の向上を図ることを目指して行われるものです。生徒指導上の組織的な課題解決に関する講義や演習が行われます。

新任業務主任研修

「新任教務主任研修」とは、新たに教務主任となった者を対象に行われるものです。教務主任の職務と役割を理解し、学校経営を円滑かつ適切に推進する中核的存在として同僚教師に指導・助言を行うことができるよう、指導力を高めることを目的としています。教務主任の実務概要を把握するための研修や、学校教育の当面する諸課題について企画力・調整力などの実践的なマネジメント能力を高めるための研修などが行われます。

その他の研修

ここまでご紹介した研修のほかにも、教職経験に応じた「2年次研修」「3年次研修」、大学院・民間企業等への「長期派遣研修」、「教科指導や生徒指導等に関する専門的研修」「教頭・副校長・校長研修」など、さまざまな研修があります。

指導が不適切な教員を対象として「指導改善研修」が行われる場合もあります。

教師の研修は法律で義務付けられている

冒頭でも触れましたが、教師の研修については教育基本法第九条の中で「法律の定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と定められています。社会の大きな変化に対応し時代の要請に応える適切な教育を行うためには、教師の資質能力をよりいっそう高めることが必要であり、研修の重要性はますます高まっていると言えます。

まとめ

教師が受けるさまざまな研修についてご紹介しました。数も種類も多く、法律で定められた法定研修もあるということで、「大変そうだ」という印象をもった人もいるかもしれません。

たしかに、日常業務と並行して行われる研修は、時にハードな場合もあります。しかし、今の自分に必要な学びを得られたり、同じ経験年数の教師同士の交流を図れたりする、貴重な場でもあります。教師の仕事は、どんなベテランになっても「これで十分だ」という終わりはありません。この記事を読んだみなさんには、教師になった後もぜひ学ぶ意欲を持ち続け、研修の機会を大いに活用していただければと思います。

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