コラム

教師の休みはどうなっている?現役教師が実態を解説

教師の休みはどうなっている?現役教師が実態を解説 教師

教師になることを考えているみなさん、教師になったら休みがどれくらいとれるのか、気になっていませんか。特に近年は、教師の長時間労働が話題になり、「教師はブラック」などと言われることもあるため、実態を知りたいという人が多いかもしれません。

そこで今回は、現役の高校教師である筆者の経験をもとに、教師の休みについて解説します。現状把握にお役立ていただければ幸いです。

教師に休みはあるのか?

教師の休みについて、まずは基本的なところを確認しましょう。

基本的には週休2日(土日)

公立学校の教師は、基本的には土日休みの週休2日制です。国が定める祝祭日も原則として休みになります。また、年末年始の12月29日から1月3日の期間も休みです。

私立学校の多くも公立学校に準じていますが、独自に定めた休みがある場合もあります。

有給休暇も付与

公立学校の教師には、1年に20日の有給休暇が付与されます。これは、20日を限度に翌年に繰り越すことができます。ただし、初年度の有給日数はこれより少ない自治体が多いので、あらかじめ確認するとよいでしょう。

夏季休暇などの特別休暇もある

生徒が夏休みでも、教師は通常の勤務時間に沿って勤務するのが基本ですが、公立学校の場合は、公務員として5日の夏季休暇がとれます。

このほかにも、リフレッシュ休暇や結婚休暇、永年勤続休暇など、自治体や学校法人によってさまざまな特別休暇が定められています。

休暇はあれど、使えるかどうかは別の話

ここまで見てきたように、教師にはさまざまな「休み」の制度があります。しかし、制度としての休暇があっても、それを使えるかどうかはまた別の話だとも言えます。

土日の場合

文部科学省が令和5年に公表した「教員勤務実態調査(令和4年度)の集計(速報値)について(https://www.mext.go.jp/content/20230428-mxt_zaimu01-000029160_2.pdf)」によると、「教諭」の1日当たりの「在校等時間」および「持ち帰り時間」の合計は、小学校で1時間12分、中学校で3時間7分となっており、休みであるはずの土日にも教師が働いていることがわかります。中学校の時間が長いのは部活動が主な要因ですが、休日の部活動手当は4時間以上働いた場合に日給3,000円程度です。

夏季休暇(特別休暇)の場合

筆者の経験では、夏季休暇は比較的取りやすいと感じます。筆者の職場(私立高校)では、夏季休暇に計画年休を合わせて、8月に10日間連続の休みが取れます。ただし、部活動の顧問をしている同僚の中には、夏季休暇は取れても3日という人もいます。

特別休暇に関しては、結婚休暇や忌引き、女性の産休・育休などは皆しっかり取っていますが、男性の育休については取る人を見たことがありません。業務が非常に多忙なため、自分が抜けるとまわりに迷惑をかけるという意識が働いていると思われます。

有給休暇の場合

有給休暇は1年に20日あるのですが、筆者の場合、使い切ったことは1度もないのが現状です。休んでしまうと、同僚に負担をかけることになったり、休んだ後に自分の業務負担がかえって重くなったりするため、「年休を取るほうが面倒くさい」という感覚になってしまいました。先ほどご紹介した令和4年度の文部科学省の調査結果でも、有給休暇の取得日数の平均は、小学校で13.6日、中学校で10.7日となっています。

近年は、教師の働き方改革に伴い、年に5日は学校側が指定した日に年休を取得しなければならない「計画年休」の制度が導入されていますが、仕事が終わらないからと、年休を取ったことにして仕事をしている同僚も珍しくありません。

なぜ休日にも出勤する必要があるのか

土日にも出勤したり持ち帰り仕事をしたり、また、権利であるはずの有給休暇を十分に取っていなかったりという現状をお伝えしました。なぜそのようなことになってしまうのか、その原因は教師ひとりあたりの業務量の多さだと思われます。

教科指導・生徒指導に関わる業務だけでも相当な量がありますが、それだけではなく、保護者や外部の関係機関との連絡対応、さまざまな研修や会議への参加と前後の事務処理、生徒募集のための広報活動、校内の管理など、教師の仕事は非常に多く、内容も多岐にわたります。さらに近年の教師不足もあって、仕事を分担する人員の余裕がないことも、ひとりひとりの負担感が増す要因になっています。

まとめ

教師の休みの実態について、現役教師である筆者の現状を交えてお伝えしました。これから教師を目指すみなさんにとっては、厳しい内容だったかもしれません。

現在、教師の働き方改革が進められようとしています。「教員業務支援員」を採用して教師の授業準備物の調達やデータ入力などのサポートを行ったり、部活動指導を外部委託することで教師の業務負担を減らそうとする自治体も出てきています。また、ICTを利用して業務の効率化を図ろうとする動きも進んでいます。実際、生徒一人1台のタブレットの導入によってプリント印刷業務は大幅に減りました。今すぐの劇的な改善は難しいかもしれませんが、少しずつ前進していることも事実です。みなさんが教師になって年月を重ねた先には、今とは違う教師の働き方が実現しているかもしれません。

これから教師を目指すみなさんには、厳しい現状を把握しつつ、そうした希望も失わずに進んでいただきたいと願っています。

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