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AIが教師にもたらす影響とは?AI教育のメリット・デメリットや導入事例を解説!

AIが教師にもたらす影響とは?AI教育のメリット・デメリットや導入事例を解説! 教師

さまざまな職種、業界でデジタル化が進み、人工知能であるAIも注目を集めています。

一方で、AIを使いこなすための知識や学習が必要であったり、雇用の機会が少なくなったりといった問題も指摘されています。

本記事では、教育現場のAI導入について、どのような影響があるか、メリット、デメリットなどを解説します。

「AI×教育」の現状

教育業界はIT業界などと比べるとデジタル化は遅れていますが、教育現場においてはICT教育が進んでいます。タブレットなどでの学習はもちろん、AIに関する教育も始まっています。

ICT教育が進んでいる

近年、教育現場では急速にICT教育が進んでいます。
パソコンはもちろん、タブレットなどのデジタル機器を使った学習、オンライン授業なども展開しています。
子どもたちがデジタル機器に触れる機会を増やし、正しい知識を身につけさせることで、インターネットリテラシーを学ぶとともに将来の職業の選択肢も増やすことにつながっています。

AI技術を使った教育サービスも増加

学校だけでなく、教育サービスでもAI技術が用いられ始めています。

スタディサプリやQubenaでは、AIが生徒の正誤を分析し、苦手を克服するためのオリジナルの問題を出題してくれるなどのシステムが整っています。

これまでの、ただ問題を解くだけのサービスよりも効率的に学力アップを目指せるため、多くの層から需要が高まっています。

学校でもこのようなAIの需要は増えており、政府は2019年に「AI戦略2019」という戦略目標を掲げています。さらにAI人材不足の解消やAI人材育成も目標としており、今後もAI技術の需要が高まることが予想されます。

政府もAI教育を推奨

政府はこのAI教育の重要性を加味し、2021年より「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートさせました。

「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」はデジタル時代において必須ともいえる数理、データサイエンス、AIに関する教育プログラムのうち、一定条件を満たしたプログラムを文科省が認定する制度です。

この認定を受けたプログラムを行っている専門学校や大学は学生に選ばれやすく、また企業からも注目されやすいといったメリットがあります。

教育現場にAIを導入するメリット

教育現場にAIを導入するメリットを紹介します。教師の負担軽減のほか、一人ひとりに寄り添った教育がしやすくなるなどのメリットを見ていきましょう。

教師の負担軽減

教育現場にAIを導入することで、業務や生徒指導が効率化されれば、負担軽減につながります。
AIが生徒の情報を管理し、適切なフォローを分析してくれれば間違った対応をすることもなくなるでしょう。

また、紙の書類をAIが読み取ってクラウド上に管理したり、書類別に分別してくれたりするケースもあります。

業務負担の重さが叫ばれている教育現場では、AI導入は大きなメリットといえるでしょう。

個々の学習レベルに合わせられる

AIを教育に取り入れることで、生徒一人ひとりに応じた対応ができるようになります。
これまで、学校での授業は多数の生徒に対して教師一人が一方的に教えるだけでした。

そのため、授業内容についていけない生徒が取り残されてしまったり、逆に授業に物足りなさを感じる生徒が出てきてしまったりするなどの問題がありました。

ですが、AIによって個別のレベルに応じた問題を出題できれば、効率的な学力アップにつながるでしょう。

高精度な成績評価

AIを駆使すれば、生徒の成績評価もより高度かつ正確にできるようになります。

これまでの評価は中間テストや期末テスト、小テスト、日々の態度などを総合的に判断する必要があり、教師の感情が評価に影響してしまう可能性もありました。

ですが、AIではこれまでのテスト結果などを一括で管理でき、適切な評価を与えることが可能です。

豊富な学習リソースを使える

AI教育では教科書だけに限らない、豊富な学習資源を活用できます。

生徒たちの好奇心を刺激しながら、幅広い範囲の学習をできるので生徒の個性や可能性を広げることが可能です。

また、教科書を読む、ドリルを解くといった従来の勉強方法だけでなく、自ら体験することで学ぶ楽しさを味わってもらえるのも、AIの魅力です。

教育現場にAIを導入するデメリット・問題点

教育現場にAIを導入するのは多数のメリットがありますが、反対にデメリットや問題点もあります。
人材育成や雇用の問題などを見てみましょう。

環境整備・データ蓄積が必要

AIを教育現場に導入するには、環境の整備やデータの蓄積といった準備が必要です。

まずAIツールを導入するコストや時間が必要ですが、すでに業務が膨大にある教育現場では準備がままなりません。

また、生徒一人ひとりのデータの入力や分類などにも時間がかかり、場合によっては新たな業務の増加により教師の負担が余計に増えてしまう可能性があります。

思考力の育成は難しい

AIは生徒の成績を分析したり適切なフォローをしたりといったことは得意ですが、人間の思考力を育成するのは難しいといわれています。

自分で考える力を育めないため、クリエイティブな発想は生まれにくいでしょう。

その分、教師が自分で考える力を伸ばすこと、学習への意識づけなどに力を入れなければなりません。

AIに抵抗感のある教師や保護者もいる

AIは使い方によっては非常に便利なものですが、人によっては抵抗感を覚えることもあります。

生徒には人である教師がまごころのある対応をすべきと考えている教師や保護者も多く、AIを導入することに反対される可能性もあります。

AIはまた未知数の部分も多く、使い方を誤ることで生徒に悪影響を及ぼすかもしれない、という考えも当然あります。

教師の雇用が減少

教師の負担が減少することで人件費のカットが進むと、教師の雇用が減少する可能性があります。

現状、教師は人材不足が叫ばれていますが、今後効率化が進んで教師が不要になることも考えられます。

人でなければ教えられないこともあるため、教師が完全に不要になることはありませんが、より少ない枠に応募が殺到する可能性もあるでしょう。

教育現場でのAI活用例

教育現場でのAIの活用事例を見てみましょう。小中学校から大学入試、教員の業務にいたるまで、さまざまなAIの事例があります。

小中学校でのICT教育

小中学校では、ICT教育が始まっており、小さいころからデジタル機器に触れる機会が増えています。

一部の公立小中学校ではAIドリルが導入されており、生徒一人ひとりのレベルに応じた問題が出題されるようになっています。

グループごとの教育にはもちろん、小テストや宿題などにも活用でき、均一的な課題を出すよりも一人ひとりの学習レベルに合わせた学習を進められるようになっています。

大学入試でのAI活用

大学入試でもAIが活用されはじめています。試験中の生徒の様子や、パソコンの操作のログを記録することで、カンニングなどを防止しています。試験官の負担を抑えるだけでなく、より正確に不正を見破れるようになりました。

また、学習サービスではAIを使って過去の大学入試問題を分析し、その大学のレベルに応じた模擬試験を作成しています。

問い合わせ対応へのAI活用

AIは相手の質問に対して的確に回答できるというメリットもあるため、問い合わせの対応にも活用することが可能です。

教師の業務量は多いですが、そのなかでも保護者への対応は精神的にも大きな負担になっています。

AIによるチャットボットを用意することで、保護者からの質問に回答してもらえて対応の時間を大幅にカットすることが可能です。

教師はAIに奪われるのか

近年、「AIにさまざまな仕事が奪われるのではないか」と不安をあおる意見が頻出しています。実際に、AIの導入によって教師の仕事が奪われることはあるのかを考えてみましょう。

AIには得意・不得意がある

AIには便利な面もある一方で、AIにはできないこともあります。

自分で考える力を育む教育や、人とのコミュニケーションの取り方、上下関係の築き方など、勉強以外でも人間性を育むためには人と人とのかかわりは重要です。

AIは仕事の効率化をサポートしてくれるものですが、だからといって人の仕事が完全に奪われてしまうわけではありません。

人間にしかできないこと

AIは教育現場でさまざまな活用方法がありますが、人間にしかできないことも多数あります。

生徒が悩んでいるとき、傷ついているときの感情面のサポートや、勉強へのモチベーションをサポートする、思考力や道徳心を養うなどは、人間にしかできません。

近年はインターネットを使う際に意識すべきリテラシーも教える必要性が高まっていますが、その場合も「なぜそれをしてはいけないのか」などを教えられるのは、教師が人間だからこそです。

教師とAIの役割分担が鍵

AIをうまく教育現場に取り入れるには、教師とAIの役割分担を明確にすることが大切です。

教師は生徒の感情面やモチベーションのサポート、思考力の向上などに注力し、AIは学習面を徹底的にサポートしてもらうなどの役割分担を明確に理解しましょう。

学習面だけでなく、書類の整理やチャットボットによる問い合わせ対応など、人間でなくても対応できる雑務をAIに対応してもらうことで、教師はより生徒とのコミュニケーションに時間を使えるようになります。

まとめ

ICT教育が進む中で、教育現場にもAIの技術が導入され始めています。今や小中学校でも、AIを始めデジタルに関する知識を学ぶシーンは珍しくありません。

まだまだ進化の過程であるAIですが、今後は教育現場をサポートしてくれる力強い存在になってくれるでしょう。

AIは学習面や業務面のサポートは得意ですが、生徒一人ひとりと向き合うのはこれからも教師の大きな仕事です。AIを上手に取り入れながら、教師としての役割をしっかり果たしていきましょう。

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