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教育現場において教師が直面する問題とは?教師不足から残業問題まで解説

教育現場において教師が直面する問題とは?教師不足から残業問題まで解説 教師

教師を目指すみなさんの中には、教育の理想に燃える気持ちと同時に、さまざまな困難を予想して不安を抱いている人も多いことと思います。たしかに、昨今話題に上っているように、教育現場にはさまざまな問題が山積しており、現場の教師は日々奮闘しています。教師を目指すにあたっては、そうしたことをしっかり認識しておく必要があります。

そこでこの記事では、現在の教育現場で教師が抱えている問題についてお伝えします。ぜひ参考にしてください。

教育現場において教師が直面している問題

教師が抱える問題はさまざまありますが、ここでは大きく3つ挙げます。

いじめ問題

学校でのいじめは以前から問題視されていますが、現在も、やや減少傾向にはあるもののさまざまな形で存在しています。令和3年に文部科学省が公表したデータによると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は517,163件、児童生徒1,000人当たりの認知件数は39.7件です。

教師は、いじめを未然に防ぐための指導や、認知したいじめに対する指導、保護者への対応などに多くの時間を割いてあたっています。

不登校

不登校の児童生徒は近年増加傾向にあります。文部科学省が公表している令和4年度のデータによると、小学校で59人に1人、中学校では17人に1人が不登校状態にあり、双方を合わせると32人に1人、つまり1クラスに1人は不登校の児童生徒がいる、という計算になります。

担任クラスに不登校が出ると、教師は保護者との連絡や家庭訪問、個別面談、カウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連絡調整など、多くの業務を負うことになります。

教師不足

上で挙げた児童生徒の問題の一方で、昨今は「教師不足」も大きな問題として取り上げられています。児童生徒の問題にしっかり向き合いたくても、人員不足でさまざまな業務に忙殺され、十分な対応ができない状況も見られます。

どれくらい教師は不足しているのか?

教師不足の実態

文部科学省が令和4年に公表した「『教師不足』に関する実態調査」によると、令和3年度始業日時点の小・中学校の「教師不足」人数は合計2,086人、5月1日時点でも1,701人となっており、それを埋めるために、本来は教師の指導や管理にあたるべき主幹教諭・指導教諭・教務主任や管理職が学級担任や授業を代替している実態が明らかになっています。

教師不足解消に向けた取り組み

こうした状況を受け、教師不足を解消するためのさまざまな取り組みも行われています。

年齢制限の緩和

以前は教員採用試験の受験年齢を制限している自治体がほとんどでしたが、教師不足を受けて、近年では年齢制限を撤廃、または緩和する自治体が増えています。

令和3年度には、年齢制限のない自治体が47にまで増加し、制限があるところも40~50代でも受験できるなど、制限の緩和が進められています。

大学との連携

教師不足解消のために、大学との連携を進める自治体も増えています。

教職に興味を持つ大学生を対象に、教職の魅力を伝える講座や教師養成塾を開講したり、教員採用試験に大学推薦枠を設けて提携大学の現役学生に特別枠を提供したりするなどの取り組みが行われています。

教師の残業時間も問題になっている

さまざまな問題への対処に加えて教師不足の状況もあることから、教師1人あたりの業務は依然として多く、残業時間の多さも問題となっています。

文部科学省の「教員勤務実態調査」によると、令和4年度の教師(校長・副校長・教頭を除く)1日あたりの在校時間は、小学校で10時間45分、中学校で11時間1分と、いずれも1日あたり3時間近い残業をしていることがわかります。

また、これはあくまで平均値であり、実際には多くの教師がこの時間を超える残業をしています。早朝6時台に出勤したり、夜8時9時まで残ったりする教師も珍しくありません。

なぜ教師は忙しいのか?

教師がなぜこれほどまでに忙しいのか、その理由をさらに多面的に見ていきましょう。

通常業務(授業に関する業務)

教師の一番の仕事はやはり授業です。いかに興味を引き、わかりやすく教えるかを考えて創意工夫をすることに終わりはありません。また、近年は「観点別評価」が導入されており、テストの得点だけでの評価でなく、日頃の授業における生徒の状況を観察し評価を蓄積していくことも求められているため、それらに割く時間も増えています。

部活動顧問

部活動顧問になると、放課後はもちろん週末にも練習や試合などが入ります。やりがいを感じている教師も多い一方、まったく専門外の部を任され、十分な指導ができなかったり、生徒や保護者との関係で悩んだりする教師も多くいます。最近では、部活動の指導を外部委託する動きもありますが、まだ浸透しているとは言えません。

行事

運動会・体育祭や文化祭、学習発表会などの行事は、生徒の成長を実感できる貴重な機会ですが、そのための指導や準備には非常に多くの時間を要します。準備段階で生徒同士のトラブルが発生することも多く、それへの対処にさらに時間を取られることもあります。

生徒指導

生徒の問題行動が発生した場合は、経緯の調査、関係生徒の洗い出しと面談、保護者への対応など、多くの時間を要します。対応に注意を要する生徒が多いクラスの担任になると、その指導に多くの時間を割くこととなり、残業時間も長くなるというデータがあります。

保護者対応

文部科学省の「学校現場における教職員の業務実態調査」によると、公立小中学校の教師が最も負担を感じていることとして「保護者・地域からの要望・苦情の対応」が挙げられています。「モンスターペアレント」という言葉が登場したころから、学校に対して過剰な要求をする保護者が増え、教師がその対応に苦慮している状況があります。

校務

教師の校務は、ここまでに挙げたような生徒や保護者に直接かかわるものだけではありません。学校の施設設備の管理、教材・教具の選定や準備、さまざまな文書の作成や処理、教育委員会やPTA、各種団体との連絡調整など、非常に多くの校務が存在し、校内の教師でそれらを分担して担当しています。

名前のない業務

ここまでに挙げた以外でも、たとえばつい最近までは、大量の会議資料の印刷や綴じ方に1時間以上取られる、といったこともありました(これは近年のタブレットの導入によってかなり改善されています)。また、職員室の給湯ポットやコーヒーメーカーの管理、職員用の茶菓子の補給、害虫が発生した場合の駆除などが、「気づいた者がすること」として、一部の職員の負担となっているケースも見られます。

まとめ

現在の教育現場で教師が抱えている問題についてお伝えしました。教師を目指すみなさんにとっては、厳しい現実として映ったのではないでしょうか。

「教師の働き方改革」が叫ばれ、教師をめぐる問題は今後少しずつ改善していくことが期待されますが、教師を目指すのであれば現在の厳しい状況は理解しておかなくてはいけません。教育実習ではその一端しか見えないため、できれば教師養成講座や現役教師と交流できる機会などをとらえて、現場の教師の抱える悩みや日々の奮闘を直接聞いてみることがおすすめです。悩みながらもよりよい教育を目指す姿に触れることは、教師を目指す者にとって非常に意義深いものとなるでしょう。

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