「モンスターペアレント」という言葉が生まれて久しく経ちますが、保護者からの理不尽な要求やクレームへの対処は、今も教師の課題のひとつだと言えます。今まさに保護者との関係性に悩んでいる教師の皆さんや、将来自分がうまくやっていけるだろうかと不安に思う教師志望の方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、教師が保護者との関係を良好に築くためのヒントをお伝えします。ぜひ参考にしてください。
教師が保護者とうまく付き合うコツ

教師として、どうしたら保護者とうまく付き合えるのか、そのコツを考えてみましょう。
「どんな保護者も自分の子どもが可愛い」という前提で接する
まずは大前提として、「どんな保護者も自分の子どもが可愛いのだ」ということを念頭に置き、その気持ちに寄り添おうと意識することが大切です。教師にクレームをつけたり怒りをぶつけたりする保護者も、その根底にはわが子に対する愛情と心配があります。その表現方法が不適切であったとしても、わが子を心配する思いを汲んで寄り添う姿勢を忘れないようにしましょう。
生徒の問題行動を注意する時、よい点を伝えてから注意する
保護者を呼び出して生徒の問題点を伝える場合も、わが子を大切に思う保護者の気持ちに配慮する必要があります。問題点だけを伝えて家庭での改善を迫るのではなく、学校生活の中で見られたその生徒のよい点をまず伝えましょう。その上で改善すべき点を伝え、共に考えようという姿勢を示すことで、「この先生はうちの子のことをわかってくれている」という安心感を与えることができ、指導への理解も得やすくなるものです。
保護者との関係は生徒との関係
保護者からクレームを受けるなどして悩むとき、保護者にだけとらわれていてはいけません。その子どもである生徒との関係性を見なおすチャンスととらえましょう。
保護者は、主に子どもの話を通して学校の様子を知ります。子どもが教師や学校に対して不信感を持っていれば、そのニュアンスが保護者に伝わり、不安を抱かせる原因になることがあります。
その生徒のことをよく観察できていたか、ほめるべき時にしっかりほめていたか、何か悩んでいる様子を見過ごしていなかったかなど、自分の対応を振り返ってみましょう。不十分な点に気づいたらすぐに改め、生徒との関係性をよりよいものにする努力をします。生徒との関係が改善することで、保護者との関係も改善に向かうことが期待できます。
保護者との関係性を築くにあたってのスタンス

次に、保護者と良好な関係を築くために大切な姿勢を3つお伝えしましょう。
話を真摯に聞く
多忙な校務の中、保護者の対応に時間を割くのは大変なものですが、話を聞くからには真摯に、しっかりと向き合う気持ちで聞きましょう。仮に電話であっても、その気持ちがあるかないかは伝わるものです。「先生がしっかり向き合ってくれた、話を聞いてくれた」と保護者が実感できれば、たとえ問題がすぐに解決できなかったとしても、信頼が大きく損なわれることにはならないはずです。
対面で話を聞く
保護者対応の際には、学校での面談や家庭訪問など、可能な限り対面で話を聞くよう心がけましょう。電話では用件のみになりがちですが、直接向き合うことで挨拶や雑談なども交えやすくなり、また、表情を見ながら話せるため、より適切な受け答えがしやすくなるというメリットがあります。わざわざ対面の時間をとったということで、教師の真剣度の高さも伝わることでしょう。
問題解決のために素早く動く
保護者から相談やクレームが入った場合は、問題解決のためにすぐに行動を起こしましょう。「相談したのに先生が動いてくれない」と保護者が心配する状況にならないよう注意します。動いた結果もこまめに報告して進捗状況が保護者にわかるようにするなど、安心感を与えられるよう心がけましょう。
1人で抱え込まないことが重要
保護者からのクレームを受けた場合は、1人で抱え込んではいけません。必ず教師間で共有し、チームとして解決にあたりましょう。
・管理職と一緒に動くことの重要性
保護者からのクレームは、そのつど管理職に相談して指示を仰ぎましょう。そのメリットは大きく3つあります。
1つは、経験豊富な管理職に相談しながら対処することで、不適切な対応を防げることです。次に、必要に応じて管理職に同席してもらうことで、保護者の過剰な要求を抑えられる場合があります。また、管理職と一緒に対応することで、「学校として動いてくれている」という印象を保護者に与え、安心感や信頼につながることも期待できます。
まとめ
教師として、保護者との関係を良好に築くためのヒントをお伝えしました。新しい気づきはあったでしょうか。
保護者との関係に悩むと、保護者がまさに「モンスター」に見えてしまうかもしれませんが、教師にとって保護者は「敵」ではなく、生徒の成長のために力を合わせるべきパートナーです。ほとんどの場合、保護者の中にあるのは「子を思う心」であり、不安や心配なのです。その思いにしっかり向き合って真摯に対応しましょう。また、1人で抱え込まず、チームとして対応にあたることも忘れないでください。
この記事が、教師のみなさんと保護者の信頼関係構築の一助となれば幸いです。
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