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教員採用試験の内容・日程・倍率を解説!採用倍率は条件によって変わる!?

教員採用試験の内容・日程・倍率を解説!採用倍率は条件によって変わる!? 教師

将来教師になりたいとお考えのみなさん、教員採用試験については確認済みですか?

近年の教員採用試験では、さまざまな点で変化が見られます。事前にしっかり確認して、合格のための戦略を練りたいものですね。

そこでこの記事では、教員採用試験の試験内容や日程、倍率について解説します。ぜひ早めに確認し、対策にお役立てください。

教員採用試験の内容

それではまず、教員採用試験の試験内容について確認しましょう。

筆記試験

筆記試験としては、多くの自治体で「教職教養」「一般教養」「専門試験」が行われています。

「教職教養」とは、教育原理、教育法規、教育心理、教育史、教育時事といった、教育に関する知識を問うもの、「一般教養」は中学・高校での学習範囲や時事問題を問うもの、そして「専門試験」は、自分が志望する校種や教科に関する内容を問うものです。

自治体によっては「一般教養」を課さないところなどもありますので、受験する自治体の試験情報をよく確認しましょう。

人物試験(論文・面接)

人物試験とは、教員としての適性を見極める目的で行われるもので、一般的な論文試験や面接試験のほか、グループディスカッションやグループワーク、模擬授業や場面指導など、さまざまな形があります。

近年は、筆記試験以上に人物試験を重視する傾向が強くなっており、1次試験から人物試験を行う自治体も増えています。

実技試験

自治体によって、また、校種や教科によっては、実技試験が行われます。

小学校では器械運動や水泳、英会話など、中学・高校では教科によって、美術のデッサンや音楽のピアノ演奏、体育の球技や陸上競技などを課されることが多いようです。また、養護教諭の試験では場面指導や救急処置などの実技が行われています。

適性検査

自治体によっては、適性検査も行われています。これは得点化されるものではなく、性格や特性に問題がないかを見るために行うもので、「内田クレペリン精神作業検査」「矢田部・ギルフォード性格検査(YG)」などが一般的です。特別な対策は不要ですが、どのような検査なのか、内容をあらかじめ確認しておくと戸惑うこともなく安心です。

教員採用試験の日程

では次に、教員採用試験のおおまかな日程を確認しましょう。

・出願
3月下旬から4月にかけて、各自治体で実施要項が発表され、願書受付が始まります。
願書には、志望動機や自己アピールなどの記載を求められるのが一般的です。

・1次試験
1次試験は従来7月に実施されてきましたが、教員採用試験倍率の低迷を受けて、民間企業の採用面接開始より早める動きがあります。2025年度は「標準日」が5月11日に前倒しされ、1次の合格発表は6~8月ごろとなります。

・2次試験と合格発表
2次試験は6~9月ごろ実施され、2次の合格発表は8~10月ごろです。2次の合格者は「採用候補者名簿」に名前が記載されます。

・自治体の教育委員会や校長による面談
「採用候補者名簿」に名前が記載された中から、自治体や校長による面談などが行われ、無事通過すれば晴れて採用となります。

実は併願が可能

教員採用試験の日程は近隣の自治体で統一されていることが多いので、併願できないと思われがちですが、日程が異なる自治体を探して複数受験することは可能です。合格の可能性を高めるために、第一志望以外の自治体を併願受験するのも一手です。

2025年度は「標準日」を前倒しへ

上でも触れましたが、教員採用試験の日程はここ数年前倒しされる傾向があります。

2024年度、文部科学省は1次試験実施の目安となる「標準日」を6月16日としました。従来は7月に実施する自治体が多かったので、約1か月早まったことになります。2025年度はさらに前倒しし、民間企業の採用面接前の5月11日とされる見込みです。受験者の対策も早めに行う必要があります。

教員採用試験は難関

「教員採用試験は合格しやすくなった」という声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

教員採用試験の倍率

教員採用試験の全国平均選考倍率は、10年前は5.5倍超でしたが、近年は3倍を切るところまで下がっています。受験者にとってチャンスではありますが、数字だけ見て「合格しやすいだろう」と油断するのは危険です。

教員採用試験が難関な理由

教員採用試験の受験者は、大学生だけではありません。受験者の半数以上は過去に受験経験のある既卒者で、講師などとして教職経験のある受験生が多くいます。そうした人たちは本気度も高く、人物試験として行われる面接や論文などでも教職経験を生かしたレベルの高い回答ができるため、大学生にとっては“強敵”です。教員採用試験が依然として難関だと言えるのには、このような理由があるのです。

教員採用試験に合格しても採用に至らないケース

教員採用試験に合格しても、採用されないケースがまれにあります。

日程のところで触れましたが、2次試験に合格すると「採用候補者名簿」に名前が記載されます。つまり「2次試験合格=採用」ではなく、あくまで「採用候補者になった」ということなのです。候補者に面接等を行って必要人数を採用することになるため、必要人数が予定より少なくなった場合などには、2次試験に合格したものの採用されない、ということもあり得ます。

採用倍率は条件によって変わる

さきほど、教員採用試験の全国平均選考倍率について触れましたが、倍率はさまざまな条件によって異なります。

地方自治体による倍率の違い

倍率は、まず自治体によって異なります。

たとえば、令和4年度の公立学校教員採用試験の各県市別の小学校の競争率を見ると、最も高い高知県は9.2倍、最も低い福岡県は1.3倍と、大きな開きがあります。受験を希望する自治体の倍率を確認しておきましょう。

校種、教科による違い

校種や教科によっても、倍率はかなり異なります。

まず、校種について令和4年度公立学校教員採用選考試験の実施状況を見ると、小学校が2.5倍であるのに対し、中学校は4.7倍、高等学校は5.3倍、養護教諭は7.2倍、栄養教諭は9.0倍となっています。

また、同じ調査で教科による違いを見てみると、中学校では国語の倍率が3.5倍であるのに対し、社会は6.6倍、数学は4.5倍となっていることがわかります。

全体平均だけを見るのではなく、希望の校種や教科の倍率を必ずチェックしましょう。

区分小学校中学校高等学校特別支援学校養護教諭栄養教諭
北海道2.34.75.82.84.46.8
青森県2.05.615.93.28.012.0
岩手県2.74.16.63.76.8
宮城県2.08.4(参考値)1.1(参考値)2.8(参考値)17.74.0
秋田県1.4 2.712.43.93.412.0
山形県1.53.75.51.77.113.0
福島県1.65.29.84.19.6
茨城県2.13.36.52.95.712.5
栃木県2.83.98.12.911.2
群馬県4.24.09.53.46.1
埼玉県2.23.84.12.46.46.6
千葉県2.08.1(参考値)9.0(参考値)2.55.59.5
東京都6.1(参考値)7.5(参考値)16.1(参考値)2.86.9
神奈川県2.74.75.1 2.7 9.0
新潟県1.94.63.51.73.23.8
富山県1.63.6(参考値)10.75(参考値)1.06.04.0
石川県2.57.4(参考値)11.4(参考値)1.06.04.0
福井県2.85.5(参考値)12.2(参考値)3.97.312.0
山梨県1.84.28.32.83.316.0
長野県2.54.15.02.45.86.8
岐阜県3.3(参考値)6.5(参考値)4.92.7 5.3 5.8
静岡県6.1(参考値)9.1(参考値)5.92.618.010.5
愛知県2.54.1 7.23.78.99.6
三重県3.26.310.84.39.110.0
滋賀県2.84.66.23.14.33.8
京都府3.25.65.02.46.38.3
大阪府7.1(参考値)8.1(参考値)5.42.916.210.6
兵庫県4.24.75.82.87.513.6
奈良県5.14.46.85.39.96.7
和歌山県2.95.05.72.43.9
鳥取県3.73.86.3 3.414.7
島根県1.83.39.02.26.416.0
岡山県3.66.8
(参考値)
6.8
(参考値)
4.010.9
広島県1.8 3.26.02.36.69.9
山口県2.23.94.42.88.9
徳島県3.84.99.72.721.815.0
香川県3.64.07.74.4 13.023.0
愛媛県2.03.1 5.02.19.736.0
高知県9.2 8.68.8 3.213.8 13.0
福岡県1.3 2.68.32.17.47.0
佐賀県1.42.67.52.54.35.5
長崎県1.53.14.21.64.5
熊本県2.6(参考値)6.8(参考値)9.83.46.36.0
大分県1.43.06.71.66.24.8
宮崎県1.64.46.74.08.329.0
鹿児島県1.84.19.32.83.65.9
沖縄県4.110.518.97.118.2
合計2.54.75.32.87.29.0
※1:(参考値)となっている数値については、小学校、中学校、高等学校の試験区分を一部分けずに選考を行っている県となり、正確な数値が出せないため参考値として独自に算出。※2:「-」となっている部分は募集がなく採用選考を実施していない試験種。

中学校の教科別採用倍率

教科競争率
国語3.5
社会6.6
数学4.5
理科3.2
英語3.6
中学校の教科別採用倍率

高等学校の教科別採用倍率

教科競争率
国語3.5
地理歴史6.2
公民8.0
数学6.3
理科5.9
英語3.3
高等学校の教科別採用倍率

教員免許試験の倍率は年々下がっている

さきほどもお伝えしたように、教員採用試験の倍率は年々下降傾向にあります。これにはさまざまな原因がありますが、ひとつには、かつて大量に採用された“団塊の世代”の教員が定年の時期を迎えていることが挙げられます。

その補充のための採用増により倍率の低下が進んでいるのですが、団塊の世代の退職が落ち着けば再び倍率増に転じるのではないかとも言われています。つまり、受験生にとっては、倍率低下傾向にある今がチャンスだと言えるでしょう。

まとめ

教員採用試験の試験内容や日程、倍率について解説しました。理解を深めることはできたでしょうか。

お伝えしたように、内容や倍率などは自治体によって異なるため、まずは希望する自治体の情報をしっかり確認しましょう。試験日程が前倒しになっていることに注意し、早めの対策を心がけたいものです。その際には、筆記試験対策だけでなく、近年重視されている人物試験への対策も徹底して行いましょう。

この記事を読んだみなさんの合格を、心からお祈りしています!

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