教師になることを検討中の皆さん、「教師は楽すぎ」と聞いたことはありませんか?楽ならそれにこしたことはないけれど、本当なのか、気になるところではないでしょうか。
そこでこの記事では、「教師が楽すぎるというのは本当か?」をテーマに解説します。ぜひ参考にしてください。
教師が楽すぎると言われる理由

「教師は楽」という声は、「教師の仕事は基本的に毎年同じ」という考えから来ているようです。教える内容も、その他の事務処理なども、基本的には大きく変わることがないため、経験を積めば毎年同じルーティンのくり返しであるということで「楽だ」と言われるのでしょう。
たしかにそうした面もありますが、実際にはそう単純ではありません。授業ひとつ取っても、日々反省・改善をしてより良いものにしていこうと思えば、どんなに教材研究や準備を重ねても“これで完成”ということはなく、「ベテランになってもそれほど楽になったとは感じない」という声も聞かれます。「教師は楽」という言葉は鵜呑みにしないほうが賢明です。
教師として働くメリット
教師の仕事は「楽」とは言えませんが、教師として働くメリットはさまざまあります。
ここでは、一般的な公立学校の教師の魅力をご紹介します。
好きを仕事にできる
「子どもが好き」「子どもの成長に関わりたい」という思いの強い人や、「この教科が好き」「この教科のおもしろさを伝えたい」という気持ちを持つ人にとっては、自分の興味のあること、好きなことを仕事にできる教師という仕事は、多少大変なことがあってもやはり非常に魅力的だと言えるでしょう。
同年代と比べて年収が高い
公立学校の教師であれば、一般企業に勤める同年代のサラリーマンの平均と比べて、年収が100万円前後高いというデータがあります。公立学校の教師は公務員なので、年齢が上がるとともに着実に年収がアップし、安定した収入を得ることができます。
ボーナスが安定している
公立学校の教師には、もちろんボーナスも安定して支給されます。
一般企業のサラリーマンの場合は、業績に連動してボーナス額が大きく減額されてしまったり、最悪の場合まったく支給されなかったりすることもあり得ます。それにくらべると、公立学校の教師は非常に恵まれています。
退職金、年金も高水準
退職金や年金も現役時代の給与に連動しますので、公立学校の教師は一般的な民間企業のサラリーマンと比べて多くなるのがふつうです。平均額を見ると、退職金で400万円程度、年金額で月5万円程度の差があります。定年までしっかり勤めれば、老後の資金面でも助けになりそうです。
リストラがない
民間企業では、大手であっても業績悪化によるリストラが行われることがあります。そんな状況になると、リストラにおびえながら仕事をしなければならず、そのストレスは大変なものでしょう。
公立学校の教師には、そのような心配がありません。解雇の心配なく働けるというのはありがたいことです。
福利厚生が充実している
公立学校に勤めると、福利厚生も非常に充実しています。人間ドックの費用補助や、プライベートで利用するホテルなどの施設の割引制度もあり、賢く利用することでかなりの優遇を受けることができます。また、夏期休暇も民間企業より多く取得することができ、恵まれていると言えるでしょう。
ローンの審査が通りやすい
自家用車や住宅の購入の際、公立学校の教師であればローンの審査が通りやすいというメリットもあります。収入が安定して高く、社会的信用があるためです。民間企業で言えば、大企業勤務のサラリーマンと同等の信用度があるといってよいでしょう。
楽すぎると言われる教師の具体例

「教師は楽すぎる」と言われる場合、どんな教師像がイメージされているのでしょうか。
いくつか具体例をみてみましょう。
部活顧問をしていない高校教師
部活動顧問の担当がなく、教育困難校でも有名進学校でもない高校に勤めることができれば、定時で帰れることも比較的多くて楽だという声があるようです。
たしかに、そうした条件であれば、放課後や週末の指導がなく、生活指導や学習指導に取られる時間も他の学校と比べて少ないと言えるかもしれません。
ただ、これも教師本人がどこまでやるか次第で仕事量は大きく変わります。また、公立学校の場合は赴任先を自分で選べないため、「楽だ」とされる学校に勤務できるとは限りません。
田舎の学校
へき地校など生徒数の少ない学校の場合、日頃から生徒ひとりひとりに目が行き届きやすいため生徒指導上の問題も少なく、課題の点検やテストの採点などにも比較的時間がかからないことから、定時退勤もしやすいという状況はあるようです。
ただし、この点も公立学校の場合は自分で選ぶことはできません。また、小さなコミュニティの中にある学校勤務になった場合、プライバシーが周囲に筒抜けになりやすいという懸念点も考えられます。
単純に努力している
近年は、教師自らがICTを活用した業務の効率化に取り組み、その結果定時退勤ができるなど楽をしているように見える、というケースもあります。この場合、その仕組みづくりには相応の努力が必要であり、何もしないで初めから楽をしているわけではありません。
楽だという理由で教師は続けられない
ここまで見てきたように、教師は決して楽な仕事とは言えません。授業準備、課題やテストの作成とその後処理、生徒指導、保護者対応など、どれをとっても「これで完了」という明確な完成形がなく、生徒の成長のためによりよい指導のあり方を求めて努力を続けることが必要になります。手を抜こうと思えば抜けるかもしれませんが、そのような教師はよい指導ができないため、生徒や保護者の信頼も得られず、自らの存在価値を感じられなくなるはずです。
「教師は楽だと聞いたから」と志願するのは、やめたほうがよいでしょう。
まとめ
今回は、「教師は楽すぎるというのは本当か?」をテーマに解説しました。
「楽ではないなら志願するのはやめよう」と思った方もいるかもしれません。
しかし、その楽ではない試行錯誤や創意工夫の中にこそ、おもしろさや喜びがあるのもまた事実です。教師の仕事に興味を持ったみなさんには、「楽ではない」という言葉に尻込みすることなく、その先にあるやりがいを信じて、ぜひ努力を重ねていただきたいものです。
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