コラム

「教員になりたい理由が浮かばない!」志望動機の書き方・書く準備・見られるポイントを解説

「教員になりたい理由が浮かばない!」志望動機の書き方・書く準備・見られるポイントを解説 教師

教員採用試験合格を目指すみなさん、志望動機は明確にまとまっていますか?

「教員になりたい気持ちはあるけれど、いざ志望動機を書けと言われると、何からどう書いたらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、教員になるための志望動機の書き方を徹底解説します。一見難しく思える志望動機作成ですが、手順を踏んで準備し、ポイントを押さえることで格段に書きやすくなります。ぜひチェックして参考にしてください。

教員になるための志望動機の書き方

教員になるための志望動機の書き方

まず、志望動機の構成について確認しておきましょう。基本的には、次の3つの内容を盛り込みます。

①どんな教師として、特にどのようなことに貢献したいか

まず、自分が目指す教師像を明確に提示します。その教師像は、志望先の都道府県や私立学校が掲げる教育方針に沿ったものとなるよう留意しましょう。その上で、特に力を入れたい分野、自分の強みを活かせる分野を示せると、さらによいでしょう。

② ①のように志したきっかけ

次に、①で示したような教師になろうと志したきっかけを具体的に述べます。最初のきっかけは素朴なものでもかまいませんが、そこからどのような思考過程を経て出願に至ったのかも明らかにしましょう。その中で、昨今の教育課題やそれに自分がどう関わろうとしているのかについても触れたいものです。

③ 自分の強み

自分がこれまでの経験で培ってきた強みをアピールします。その強みが、①で示した「力を入れたい分野」に活かせること、それを通して志望先に貢献できることを述べるとともに、その決意の強さを示して締めくくります。

志望動機を書くための準備

次に、志望動機を書くための準備として行うべきことを3つお伝えしましょう。

自己分析

準備として一番大切なのは自己分析です。なぜ他の仕事ではなく教員になりたいのか、そう考えるようになったきっかけは何だったのか、どんな教員になりたいのか…などを、これまでの経験を振り返り、自分の気持ちと向き合ってじっくり考えてみましょう。

自己分析については後ほど詳しくお伝えします。

教育方針を調べる

志望する都道府県や学校法人の教育方針を調べておくことも必要です。志望動機として書く

「なりたい教員像」と志望先の教育方針が一致していなければ、どんなに立派なことを書いても合格は望めません。必ず教育方針を確認し、それに沿った志望動機となるよう留意しましょう。

業界研究

一般企業への就職と同様、教員を目指す場合も業界研究は重要です。近年の教育業界の動向や抱えている課題などについて知っておくことは、目指す教師像を語る際に役立ちます。昨今の教育問題についての自分なりの考えをもっておくことも、的確な志望動機を書く際の大切な材料となるでしょう。

教員採用の志望動機で見られているポイント

教員採用の志望動機では、特にどのような点を見られているのでしょうか。
ここでは3つのポイントをご紹介します。

教育に対する思い

教員は、未来を担う子どもたちを育てる、責任の重い仕事です。責任を持って仕事にあたろうとする思いがあるか、困難にもめげずに続けていくことはできるか、といった「決意の強さ」が見られます。教育業界の諸課題を理解したうえで、それでも務めを果たそうとする強い思いを伝えたいものです。

教育分野で何を達成したいか

教育に対する思いの強さをアピールするだけでは十分ではありません。昨今の教育課題の中で、自分が特に貢献したいことを明確にしましょう。たとえば、ICTの活用や特別支援教育の充実など、自分が学んできたこと・強みを生かして、どのように貢献したいか、何を達成したいかを述べましょう。

目標を達成する力

達成したいことを述べたら、それをやり遂げる力があることも示す必要があります。そのためには、教員を志したきっかけのエピソードや、これまでに困難を乗り越えて目標を達成した経験などを具体的に示すことが求められます。それらが具体的で説得力があれば、あなたの力をアピールできるでしょう。

【学校別】志望動機で見られるポイント

志望動機で見られるポイントをお伝えしましたが、さらにくわしく、校種別のポイントをご紹介します。

小学校の志望動機で見られるポイント

小学校時代は、社会性と学習習慣の土台づくりをする大切な時期です。その重要性を理解して子どもたちの成長に寄り添い、導こうとする意欲があるかどうかが問われます。

また、まだ幼い子どもたちを預かる者として、安心感を与えられるような人間的な温かさを持ち合わせていることもポイントだと言えるでしょう。

中学校の志望動機で見られるポイント

中学生は思春期に入り、様々な葛藤の中で自らの生き方を模索しはじめる時期です。反抗期を迎えて大人とのコミュニケーションが不足する場合もあり、思春期特有の課題が現れやすい時期だと言えます。そのような生徒たちの状況を理解し、温かさと厳しさをもって、義務教育に求められる学力を身につけさせ、社会の一員として守るべきマナーやルールを教えようとする意欲があるかどうかが問われます。

高校の志望動機で見られるポイント

高校は、卒業後社会に出ることを念頭に置いた教育と、大学などへの進学に向けた準備教育を担います。よって、高校教員の志望動機としては、社会人として活躍できる人材を育てるための「キャリア教育」への意欲や、より専門的な学習指導を担おうとする熱意の強さがポイントとなります。

特別支援学校の志望動機で見られるポイント

特別支援学校の教員は、さまざまな心身の障がいに対する知識・理解と、ひとりひとりの生徒の障がいの状況に合わせて適切な指導を行おうとする意欲を求められます。志望動機ではその点をアピールしましょう。その際、実際に障がいのある子どもたちのサポートをした経験などを添えることができれば、さらに説得力が増すでしょう。

NGな志望動機の特徴

志望動機のポイントを見てきましたが、逆に、NGポイントも確認しておきましょう。

抽象的である

「熱意をもって」「教えることが好きで」「貴校の教育方針に共感して」など、よくある表現を羅列しただけの抽象的な文章はNGです。「教えることが好き」なら、これまでの「教えた経験」とそこから学んだことを具体的にアピールすべきですし、「教育方針に共感」したのなら、どの部分になぜ共感したのかを書くべきです。必要なのは、あなたならではの「経験」とそこから生まれた「考え」であることを忘れないでください。

待遇条件ばかりに触れている

「給与が他より高くやりがいがある」「休暇が取りやすい点が魅力」などというのは、本音かもしれませんが、志望動機に書くのはNGです。教師として社会に貢献することではなく、自分が得をすることしか考えていない印象となってしまいます。志望先の教育内容・教育環境が自分にとって魅力的だ、という方向性で書きましょう。

自己分析の重要性

先ほども触れましたが、志望動機を書くにあたっては「自己分析」が非常に重要です。ここで、その重要性・メリットについて確認しておきましょう。

自己分析で原体験を発掘

自己分析ではまず、「自分がなぜ教師になりたいと思うに至ったのか」を掘り下げましょう。最初に興味を持ったきっかけは何だったのか、そこからどのように考えて教師を自分の仕事とする決断に至ったのか、自分の感情をたどって考え抜くことで、志望動機の「核」をしっかり作ることができます。

自分の知らない自分を発見

自己分析がうまく進まない時には、「志望動機を書くため」という前提を一旦外してみることも大切です。自分が何を感じ、何を考えているのか、どんなことをやりたくて、どんなことはやりたくないのか、大切だと思うことは何なのか…など、思いつくままに言語化してみましょう。そうすることで、自分という人間を見つめなおすことができ、より真実味のある志望動機の作成に役立ちます。

自分の強みを認識

志望動機では「自分の強み」をアピールしたいところですが、自分では「できて当たり前のこと」と思っているため、意外と気づきにくいものです。自己分析は、その強みをはっきり認識するためにも有効です。

これまでやってきたこと、人から評価されたことなどを書き出して振り返ってみましょう。その中に、あなたの強みを見つけることができるはずです。

バイトをすることでリアルな動機が見つかる

バイトをすることでリアルな動機が見つかる

ここまでご紹介したことを踏まえても、まだ志望動機がうまくまとまらないという方は、「教える立場」を実際に体験してみるのも一手です。塾講師や家庭教師のアルバイトに挑戦してみてはいかがでしょうか。

実際に子どもたちと接して教えることを経験し、その楽しさややりがいを見出すことができれば、それがそのままリアルな志望動機となります。その経験の中で自分がやってみたこと、感じたこと、考えたことなどを、志望動機に具体的に盛り込みましょう。

現役教師が本気で書く志望動機

それではここで、ひとつの参考として、実際に教壇に立っている現役教師が、「今から教員採用試験を受ける立場」に立ち返って書いた志望動機をご紹介します。

例文

私は、生徒ひとりひとりの自己肯定感を高め、自ら学びに向かうよう促すことのできる教員になりたいと希望しています。
そう考えるきっかけとなったのは、家庭教師として、勉強に苦手意識を持つ生徒の指導にあたった経験です。基礎的なことが身についておらず、「わからない」「どうせできない」と、まったく意欲のない状態でした。初めは苦慮しましたが、粘り強く寄り添うと決め、小さなステップを踏んで指導することと、小さな成長を見逃さずに認め、ほめることを心がけました。そうするうちに、少しずつではありますが「わかった!」「できた!」という場面が増え、次のステップに対する意欲も見られるようになりました。
私はこの経験から、「どんなにやる気がないように見える子どもでも、本当はわかりたい、できるようになりたいのだ」ということを強く感じました。そして、そのサポートができる、指導力と温かさのある教員になろうと決意するに至りました。
貴校では、一人ひとりの能力に応じ、自ら学ぶ生徒を育てることが教育目標として掲げられています。まさに、私の目指す教員像と一致していると考えます。学校現場においてこうした指導をすることは非常に努力が必要なことと承知していますが、ぜひとも貴校の一員として、自ら学ぶ生徒の育成にあたりたいと、強く希望しています。

アドバイス

上の例文では、自己分析や現在の教育課題を踏まえて、「どんな教員になりたいのか」をまず明確にし、そう考えるようになったきっかけを具体的に述べています。さらに、きっかけ話だけで終わらせず、そこから自分が学んだこと、考えたことを志望動機に結びつけています。また、自分の理想が決して簡単に実現できるものでないことを理解しながらも、やり遂げようとする決意を示しています。このように、経験に基づいた確かな現実認識と、教員として理想を掲げて努力を続けたいという意思を示すことが大切です。

まとめ

今回は、教員になるための志望動機の書き方をくわしくお伝えしました。

最近は、AIを利用した志望動機作成ツールなどもあるようですが、そうしたものはどこか文章が表面的で、その人ならではの「核」が感じられません。まずは自分の中で「教員になりたい」という本気度を確認し、それが伝わるように、具体的な経験や考えたことを述べましょう。その際、昨今の教育課題を十分認識し、困難にも耐えうるという決意も合わせて示したいものです。

志望動機を書くことは大変かもしれませんが、教員を目指すという自分の気持ちを確認する、大切な機会です。自分としっかり向き合って、あなたならではの志望動機を書きあげてください。

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