塾講師は、学校の教師とは異なる立場で生徒の成長に寄り添える、非常にやりがいのある仕事です。将来の仕事として検討中の方もいらっしゃることでしょう。
ただ、その際気になるのが、塾講師の年収ではないでしょうか。いくらやりがいがある仕事でも、収入が少なくては生活が心配ですね。
そこで、この記事では、塾講師の年収の実態について、また、年収を上げる方法についてもお伝えします。ぜひ参考にしてください。
塾講師の年収はどれくらいなのか?

さっそく、塾講師の年収を見ていきましょう。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに、まずはざっくりとご紹介します。
平均年収は384万円
令和4年の「賃金構造基本統計調査」によると、塾講師の平均年収は約384万円です。
参考として、令和3年の調査では平均年収は約418万円となっています。
令和5年の調査では?
令和5年の同調査の速報値では、「教育学習支援業」の平均年収が約444万円となっています。「教育学習支援業」の中には学校に勤める教員も含まれており、また、ボーナスは計算に含まれていないことには注意が必要なものの、平均年収は令和5年に入り上昇傾向と言えるかもしれません。
塾の規模によっても年収は変わってくる
塾講師の年収データをご紹介しましたが、もっと細かく見ると、塾の規模によって講師の年収はかなり変わってきます。
次の表をご覧ください。
企業規模(従業員数) | 平均年収 |
10〜99 | 約372万 |
100〜999 | 約363万 |
1,000〜 | 約427万 |
出典:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
このように、従業員数が1,000人を超える塾であれば、中小の塾と比べて年収が約50~60万円高くなっています。難関大学を目指す生徒が集まる大手予備校などがこれにあたるでしょう。
塾講師の年齢別年収
また、塾講師の年齢によっても平均年収は変わってきます。
次の表をご覧ください。
年齢 | 月収 | ボーナス | 年収 |
〜19歳 | 15.8万 | 22万 | 211.6万 |
20〜24歳 | 23.4万 | 14.6万 | 295.4万 |
25〜29歳 | 25万 | 36.4万 | 336.4万 |
30〜34歳 | 28.3万 | 48.0万 | 387.6万 |
35〜39歳 | 31.1万 | 50.0万 | 423.2万 |
40〜44歳 | 31.0万 | 54.3万 | 426.3万 |
45〜49歳 | 32.7万 | 54.2万 | 446.6万 |
50〜54歳 | 32.4万 | 59.5万 | 714万 |
55〜59歳 | 30.6万 | 42.5万 | 409.7万 |
60〜64歳 | 30.0万 | 17.1万 | 377.1万 |
65〜69歳 | 30.3万 | 16.2万 | 379.8万 |
70歳〜 | 17.6万 | 40.5万 | 251.7万 |
出典:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
大まかな傾向としては、年齢が上がり経験を重ねるにつれて年収が上がっていることがわかります。50代後半から収入が減る傾向にあるのは、体力面を考えて持ち授業数を少なくしたり、常勤の正職員から非常勤職員にシフトしたりしていることが考えられます。
塾講師の経験年数別年収
次に、年齢を外して「経験年数」のみのデータを見てみましょう。
月収 | ボーナス | 年収 | |
初年 | 22.3万 | 1.7万 | 269.3万 |
1〜4年 | 24.5万 | 31.9万 | 325.9万 |
5〜9年 | 26.5万 | 46.9万 | 364.9万 |
10〜14年 | 29.4万 | 54.5万 | 407.3万 |
15年以上 | 32.5万 | 60.2万 | 450.2万 |
出典:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
ご覧のように、経験年数を積むごとに年収が上がるという、シンプルなデータが出ています。
コツコツと継続して力をつけることで、年収アップが期待できそうです。
塾講師、男女別の年収
では、男女別ではどうでしょうか。
令和4年の調査では、男性塾講師の平均年収は約394万円、女性塾講師の平均年収は約326万円というデータが出ており、男性の平均のほうがやや高いことがわかります。日本人全体の給与所得者のデータを見ても男性のほうが女性より高いので、塾講師でもそれと同じ傾向がある、と言えるでしょう。
塾講師、アルバイト年収
ここまでご紹介してきた年収は、あらゆる雇用形態を含めた平均値でしたが、アルバイト塾講師の年収はどれくらいになるでしょうか。
正社員であれば月給制や歩合給となりますが、アルバイトの場合は時給やコマ給による計算になるのが一般的です。仮に、時給1,200円で1日8時間、月20日間働いたとすると、
1,200円×8時間×20日間×12か月 = 約230万円 となります。
時給でなく、「1コマいくら」というコマ給の塾もあります。この場合、仮に、1コマ1,200円で1日3コマ、週3回働いたとすると、
1,200円×3コマ×週3回×月4週×12か月 = 約52万円 となります。
ちなみに、1コマの時間は、勤める塾や担当する学年によって異なります。一般的には、小学校低学年で45分~60分、高校生向けの予備校で1コマ80分~90分程度です。
アルバイト塾講師は、時給、コマ給いずれにしてもボーナスもないことがほとんどで、当然のことながら年収は正社員よりもかなり低くなることがおわかりいただけるでしょう。
塾講師の年収を上げる方法

塾講師として勤めるなら、少しでも年収を上げたいものです。ここからは、塾講師として年収を上げる方法を3つご紹介します。
大手の塾に就職を狙う
先ほどご紹介したように、従業員数が1,000人を超える大手塾の講師の年収は平均より高い傾向があります。大手は豊富な実績で生徒を集めやすく、経営が安定するので、収入面では比較的安心して勤めることができます。塾講師の平均以上の年収を望むのであれば、大手塾への就職を目指すのが近道です。
人気講師を目指す
生徒や保護者の信頼を集めて人気講師になると、年収アップにつながる可能性があります。塾にとって、優秀な講師は生徒集客のキーマンとなるからです。人気講師として認められれば、仮に時給やコマ給であっても単価アップが見込めます。
経験と研鑽を積んで指導力を高め、塾から「手放したくない、他の塾に取られたくない」と思われるような講師を目指しましょう。
室長を目指す(昇進を狙う)
「室長」「教室長」などと呼ばれる「教室の責任者」になると、カリキュラム整備、アルバイトを含めたほかの講師の監督・指導、生徒募集全般を任されるため、給与がアップするケースが多いようです。
責任は重くなりますが、その分やりがいもあります。年収アップを目指すなら、室長を目指して必要な力をつけ、将来的にはさらにその上の「エリアマネージャー」への昇進を狙いましょう。
まとめ
塾講師の年収の実態と、年収をアップさせる方法についてお伝えしました。
塾講師の平均年収は、決して高いとは言えないかもしれません。しかし、就職先や実力によってかなり幅があるのも事実です。塾講師の仕事に魅力を感じるのであれば、大手塾、または中小でも長く働ける塾に勤め、人気講師や昇進を目指して指導力をつけることが大切です。仕事に情熱をもって本気で取り組めば、年収アップの道も開けてくるでしょう。ご自身に合った方法で、キャリアアップを目指してください。
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