就活で聞かれることの多い「ガクチカ」と「自己PR」ですが、「この2つがどう違うのか、よくわからない…」という就活生も多いのではないでしょうか。
たしかに、この2つには共通する部分もあり、同じエピソードを使うことになる場合もありますが、書くべきポイントはそれぞれ異なります。
そこで今回は、「ガクチカ」と「自己PR」の違いや書き方のポイント、注意点についてお伝えします。ぜひ参考にしてください。
ガクチカと自己PRの違いは?

「ガクチカ」と「自己PR」はどう違うのでしょうか。この2つを就活生に課すことで企業側が何を確認しようとしているのか、という視点で考えてみましょう。
ガクチカ
ガクチカは、学生時代に特に力を入れた事柄について、「困難を乗り越えたエピソード」や「その時の思考過程」を掘り下げて書くものです。企業はガクチカを通して、自己PRよりもさらに深くあなたの人となりや物事に取り組む姿勢をつかみ、入社後どのように仕事に取り組んでいける人物であるのかを見極めようとしているのです。
自己PR
自己PRは、「今持っている長所や強み」を、「それを証明するエピソード」とともに示すもので、ガクチカよりは比較的シンプルだとも言えます。企業は自己PRを通して、あなたの強みが自社で活かせそうかを確認しています。したがって、自己PRを書く際には、志望企業が求める人材像を意識し、それにマッチした強みをアピールする必要があります。
ガクチカと自己PRの内容が被っても良いのか?
「ガクチカと自己PRの内容が被ってしまう…」というのは、多くの就活生の悩みかもしれません。学業・サークル・アルバイトなど、すべてに全力で取り組んだという人はそう多くないのではないでしょうか。たとえば、「サークル活動にひたすら打ち込んだ」人は、ガクチカでも自己PRでも、サークル活動のエピソードを語ることになるでしょう。結論から言えば、被ってしまっても問題はありません。
ただし、同じ「サークル活動」のエピソードでも、取り上げる「切り口」は変えましょう。すべてが同じでは、他にアピールできるポイントがないのだと思われてしまってマイナスです。企業側がガクチカと自己PRのそれぞれで何を見ようとしているのかを意識し、それに的確に答えるよう心がけることが重要です。
同じエピソードの場合
ガクチカでは
ガクチカで書くべき内容は、「学生時代に直面した困難とどのように向き合い、どうやって乗り越えたのかという経験」です。困難に遭った時にあなたがどのように思考し、周囲とどう関わり、どのように行動して乗り越えたのかを深掘りして、できるだけ詳しく書きましょう。
自己PRでは
同じエピソードでも、自己PRとして書く場合は、「自分の強みやスキルを活かして成果を上げることができた経験」を書きます。
単に「長所は〇〇です」と書くのではなく、その強みやスキルを実際に活かして集団に貢献したり、自己の目標を達成できたりしたエピソードを添えることで、説得力を高めましょう。
ガクチカと自己PRにおける一貫性
上でお伝えしたとおり、ガクチカと自己PRのエピソードが同じになること自体は問題ありませんが、「同じでなければならない」ということはもちろんありません。重要なのは、自分がアピールしたいポイントに適したエピソードであるかどうかです。伝えたい内容を明確にしてから、それを効果的に伝えられるエピソードを選びましょう。
また、ガクチカと自己PRでアピールするポイントの「一貫性」も大切です。
たとえば、ガクチカで「コミュニケーション能力」を発揮して問題を解決し困難を乗り越えたエピソードを書いているのに、自己PRで「一人で集中してコツコツと作業することができる」などと相反する内容を書くと、読み手である企業側にとってはあなたがどんな人なのかイメージがしづらくなってしまいます。エピソードは違っても、伝えたい自己像には矛盾が生じないよう、一貫性を持たることを意識しましょう。
ガクチカと自己PR差別化のポイント

ガクチカと自己PRの違いが、だんだんわかってきたでしょうか?
ここからはさらに具体的に、この2つの差別化のポイントを見ていきましょう。
異なる側面のアピール
ガクチカと自己PRを書き分けるには、同じエピソードでも「切り口」を変えることが必要です。
たとえば、アルバイトの経験をもとにそれぞれを書くとしても、自己PRでは「強みを活かして成果を上げた経験」を書くことで「あなたの強みやスキル」をアピールし、ガクチカでは「困難を乗り越えた経験」を書くことで「あなたの人柄や仕事への取り組み方」を伝える、ということになります。次にふたつの例文を挙げてみましょう。
自己PR例文
私の強みは、観察力とコミュニケーション力です。塾講師アルバイトの中で生徒の性格や理解度を観察し指導法を工夫することで、成績向上に貢献しました。成績が伸び悩む生徒には小さな成功体験を積み重ねさせることを意識して接し、落ち着きのない生徒にはまず短時間で取り組みやすい教材を与え集中できたわずかな時間を見逃さずほめるよう心がけました。こうした個々の取り組みを続けた結果、勉強が楽しくなったという生徒が増え、塾内の優秀講師賞を獲得することもできました。貴社入社後もこの観察力とコミュニケーション力を発揮して顧客や社内のニーズをよく理解し、相手の期待を超える提案や行動で信頼関係構築に貢献したいと考えています。
ガクチカ例文
私が力を入れたことは、アルバイト講師を務めていた塾の集客の推進です。その塾は生徒減少が問題となっており、私は旧態依然とした運営がその原因ではないかと考えました。そこで魅力的なアピールポイントを作るためにライバル塾の動向をリサーチし、塾長に授業のICT化を打診するとともに、外部のオンライン英語講座との提携や月額定額制の自習室のサブスク提供を提案し、チラシのデザインも引き受けました。提案の一部が実際に導入された結果、3年をかけて塾生を2.5倍に増やすことができ、現状に甘んじずアイデアを出して行動することの重要性を実感しました。貴社入社後もこの経験を活かし、課題解決の推進力になりたいと思います。
自己PRの書き方のポイント
自己PRの書き方のポイントを整理しておきましょう。
自分の強みを明確に
自己PRを書く前に、まずは「自分の強み」を明確にしましょう。「主体性がある」「リーダーシップがとれる」「傾聴力が高い」など、思いあたることを書き出した中から、志望企業が求める人材像にマッチしたものを選び、明確に打ち出すことが大切です。
その強みが現れた具体的なエピソードを添える
PRする強みを決めたら、その強みを表す「具体的なエピソード」を添えましょう。「協調性があります」などと書くだけでなく、「どのような場面でどのように協調性を発揮したのか」というエピソードを書くことで、入社後に活躍するあなたの姿をより具体的にイメージしてもらうことができます。
成果や結果をも具体的に
「具体的なエピソード」には、あなたの強みによる「成果や結果」も具体的に盛り込みましょう。「リーダーシップがあります」と書くだけでなく、「仕事ぶりを認められ、アルバイトを初めて半年で店舗チーフを任されるようになりました」などと書いたほうが真実味があり、より強いアピールになります。
どのように生かしていきたいのかを書く
過去のエピソードを書いて終わりではなく、それを未来にどう生かすのかまで書きましょう。自分の強みを志望企業でどのように生かしていきたいのかを前向きな決意として書いて締めくくりとします。ここでも、その企業が求めている人材像を意識し、それに合う方向で書くことを忘れないようにしましょう。
ガクチカの書き方のポイント
ガクチカのネタ出し方法から実際の書き方、例文までをこちらの記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
「ガクチカ」と「自己PR」の違いや書き方のポイント、注意点についてお伝えしました。
この2つの違いが見えてきたでしょうか。
大切なのは、志望企業側の視点に立つことです。この2つを課すことで企業側が何を見ようとしているのか、そしてどんな人材を求めているのかを常に念頭に置きましょう。そこを外さずにアピールすることで、的確な文章が書けるはずです。
この記事を読んだみなさんが、納得のいく「ガクチカ」と「自己PR」を完成できますようお祈りしています!