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公立学校の教師離職率は約1%!離職率が低い理由と職場環境を解説

公立学校の教師離職率は約1%!離職率が低い理由と職場環境を解説 教師

将来の選択肢として教師になることを検討中のみなさんの中には、教師の離職率や職場環境について知りたいという方も多いのではないでしょうか。特に近年は「教師の働き方改革」が叫ばれるなど、「教師の仕事はブラック」というイメージもあり、離職率がかなり高いのではないかと気になるところかもしれません。

そこでこの記事では、教師の離職率や職場環境についてお伝えします。ぜひ進路選択の参考にしてください。

教師の離職率は約1%

総務省による「令和3年度の地方公務員退職状況等調査」のデータを見ると、教育職の普通退職者は8,575人となっています。この年の教育職員の全体数が856,771人であるため、これをもとに計算すると、離職率は約1%となります。

日本の産業全体の離職率が約15%程度であることと比較すると、教師の離職率は非常に低いということができます。

教師の離職率が低い理由

ニュースなどで教師の職場環境の問題が取り上げられることが多いにもかかわらず、実際の離職率が低いのはなぜなのでしょうか。

転職のタイミングをのがしやすい

教師の離職率が低い理由のひとつとして、転職活動の難しさが挙げられます。

教師は一般的に非常に多忙であり、休日にも部活動指導や残務処理に追われることが珍しくありません。そのような中、転職に向けたリサーチや対策をする時間を捻出することが難しく、タイミングを逃してしまうことが考えられます。

また、学校現場では、成長途上の児童生徒にとって、担当教師が途中で変わるということは教育的に望ましくないと考えられるため、そんな雰囲気の中でなかなか踏ん切りがつかず、転職希望先の中途採用募集期間に合わせた転職活動ができない、ということも考えられます。

一般職に転職することへの不安がある

多くの教師は、新卒後すぐに教師となり、学校以外で働いた経験がありません。学校とは違い「利潤の追求」を目的とする一般企業に対して、「自分で大丈夫だろうか?」「通用するだろうか?」という不安が先に立ち、精神的ハードルが高くなってしまって、なかなか転職に踏み切れない、ということも考えられます。

収入の問題

教師の収入は、民間企業の同年代平均と比較して一般的に高めであり、安定しています。教師が一般企業への転職を考える場合、同じ給与水準で探そうとしても難しいことが考えられます。教師のままでいれば年齢を重ねるほど着実に収入がアップするため、ますます転職に踏み切れなくなるという事情もあるようです。

離職率が低いからと言って働きやすい環境とは限らない

すでにお気づきのことと思いますが、教師の離職率が低いからと言って、働きやすい環境であるとは限りません。あくまで一例ですが、現役高校教師である筆者の職場環境をご紹介します。

業務量

授業の準備や生徒指導以外に、校務分掌として受け持つさまざまな仕事もあり、ひとりの教師当たりの業務量は非常に多くなります。勤務時間内に終えられることはほとんどなく、早朝から出勤したり、夜遅くまで残ったりして対応しています。平日は時間的にゆとりがないため、土日に残務処理や翌週の準備をすることで、なんとか仕事をさばいている状況です。

生活指導

生徒に問題が発生した場合、勤務時間外であっても対応が必要なことがあります。たとえば、不登校傾向のある生徒の自宅を訪問して様子を見たり、問題行動をくり返す生徒の保護者に来校してもらって三者面談をしたりということは、どうしても夕方以降になることが多くなります。

保護者対応

保護者対応も大切な仕事ですが、近年は共働きの家庭が多いため、面談等を行う場合は保護者の都合に合わせて、やはり夕方以降になることが多くあります。また、子どもについて保護者が電話で相談してくることもありますが、夜間や週末に電話をしてくるケースもあり、対応が無理な場合は断るにしても、ストレスを感じることがあります。

部活動

部活動顧問としての仕事は、ほぼ勤務時間外に行うことになります。部によっては、毎日早朝練習を行ったり、土日も最低1日は必ず練習が入ったりするため、プライベートの時間が十分に取れないというケースもあります。部活動指導にやりがいを感じる教師も多い反面、担当になって苦痛を感じているという教師もいます。

新人教員の4.9%が1年以内に離職

東京都教育委員会の発表によると、2023年度の新規採用者の1年以内の離職率は4.9%でした。

さきほど、教師全体の離職率を約1%とお伝えしましたが、それと比べると新規採用教師の離職率は約5倍に跳ね上がっていることがわかります。つまり、採用後最初の1年間で想像以上の業務量やさまざまな大変さに直面し、乗り越えることができずに退職してしまう新規採用者が一定数いるということだと考えられます。

まとめ

教師を目指すみなさんにとっては、厳しさを感じる内容だったかもしれません。

教師の働き方改革が進められている中、これから少しずつ改善されていく部分も出てくることと思われますが、児童生徒に関わる仕事である以上、時間で割り切れない部分は必ずあると考えたほうがよいでしょう。教師の楽しい面だけ見て憧れるのではなく、実際の仕事の実態や大変さにもあらかじめ目を向け、教育実習や塾講師のアルバイトなどを通して実際に体験するなどした上で選択すれば、採用後すぐにギャップを感じて離職するリスクは減らせるはずです。多角的に情報を集め、じっくり考えて選択しましょう。

この記事が、みなさんのよりよい進路選択の一助となれば幸いです。

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